第二次世界大戦終了と同時に日本を占領下に置いたGHQ※1(General Headquarters Supreme Commander for the Allied Powers)の規制により、100トンを超える船舶の運航や船員管理は引き続き特別法人船舶運営会が行い、GHQの下部組織SCAJAP※2(Shipping Control Authority for Japanese Merchant Marine)がこれを統制した。また、壊滅状態にあった日本商船隊の再建に必要な造船にも規制が課せられ、多くの物資を輸入に頼る日本にとって実に厳しいものであった。
加えて1946年には、政府が戦時補償の打ち切りを発表。日本郵船は、同年の総資産6億3,000万円のうち喪失船舶に対する戦時保険金および補償金約3億円を失い、船隊再建への道は険しいものとなった。さらに47年には過度経済力集中排除法が施行され、業界に過度な影響力を持つ会社の1つとして当社の解体が審査されるに至り、会社の存続までもが危ぶまれる状況となった。
しかし、東西冷戦が深刻化するにつれ、米国の占領方針が日本の経済的自立を促進する方向に転換されると当社の解体は見送られることとなり、会社存続の危機は回避された。49年以降、順次船舶の運航や船員管理も民間企業に還元され、海運会社による自主的営業が再開された。しかし、遠洋航路の再開には、まだGHQの許可を得る必要があった。
※1 GHQ:連合国軍最高司令官総司令部
※2 SCAJAP:日本商船管理局
軍事輸送用に建造された戦時標準型船「洞雲丸」。SCAJAPに登録された船舶は、船体にSCAJAP識別番号の表示、船尾へは国旗に代わりSCAJAP旗の掲揚が義務付けられた
GHQからの民営還元に関する通達
グループ報「YUSEN」
2009年3月号No.619
【表紙のことば】 世界中の海を巡るプロペラ。環境問題の取り組みで果たす役割も大きいのです (灰色の金属ジンクアノードは、プロペラの電食を防ぎます)
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