2006年秋、清水港お茶直輸出100周年記念事業の1つとして、特別展『「神奈川丸」の周辺』がフェルケール博物館(静岡県)で開催されました。 静岡県産の日本茶は、19世紀半ごろから欧米に輸出されていました。しかし、茶葉を輸出するには外国商社が多く集まり、再製茶工場※が完備された横浜港まで小型船舶や鉄道で運ばなければならなかったため、清水港で茶葉を外国航路船へ直接船積みすることは、長い間同地の茶業関係者の悲願でした。 ようやく静岡県にも再製茶工場が建設され、産地から港までの物流ラインが整備されたのは20世紀初めのこと。そしてついに、 1906年5月13日午前9時、当社の米国航路船「神奈川丸」が茶箱3,472箱を積み込むために清水港に初入港しました。4本マストの黒い船体はいかにもりりしく、待ちに待った入港を人々は花火を打ち上げて祝い、新聞にも連日関連記事が掲載されました。
「神奈川丸」初入港の年に2,354トンであった清水港からの輸出量は、翌年には3,404トンと順調に増加し、3年後の09年にはついに横浜港を抜いて日本一に。日本茶の輸出港としての地位を確立しました。
※ 再製茶工場:茶農家から集めた茶葉を選別・乾燥させて品質をそろえ、木箱に梱包する
グループ報「YUSEN」
2007年1月号No. 593
【表紙のことば】 新春といえば富士山。皆さんにとって、良い1年になりますように。
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