1936(昭和11)年8月5日、紀州沖を横浜に向けて航海中の「秩父丸」から、数日後に控えた日本初遠洋船舶無線電話設置を記念して、外航船舶初のラジオ放送が流れました。午後7時半、船内オーケストラの演奏、船の位置、船内の様子、船長の経験談などをJOAK(現、NHK)が放送したこの30分間は、ラジオが娯楽の主役であった時代に、さぞや人々を驚かせたことでしょう。
その21年後、1957(昭和32)年の海の記念日(7月20日)に、日本短波放送(現、日経ラジオ社)の「郵船アワー」が始まっています。週1回、午後6時と深夜12時からの25分間番組で、乗組員に家族の声が届けられました。目玉は「声のお便り」コーナー。あらかじめ放送時に電波が届く海域にいる船を調べ、その乗組員の家族の声を収録して放送するというなかなか手の込んだもので、最初の1年で230家族600人が出演しました。そのほかには「海運界の情勢」「社内ニュース」「社員座談会」「大相撲中継」「音楽」などのコーナーがあり、番組の最後には必ずNYKの「社歌」が流れました。この放送は多くの社員・家族の支持を受け、約20年間続いた長寿番組になりました。
編集風景
収録風景(1957〜58年「ゆうせん」より)
社内報「YUSEN」
2004年5月号
【表紙のことば】 ロンドンの街にそびえ立つ時計台。NYKグループのバルク・エネルギー輸送事業も、この時計台のように揺るぎない安定感で天高い頂を目指す。
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