2月19日「氷川丸」(横浜市・山下公園)船上でピアノ・ハープ・オペラ歌手によるコンサートが開催され、120人の聴衆を魅了しました。
奏者は、約70年前に本船の内装を手掛けた船室デザイナー、マーク・シモン氏(フランス・1883〜1964)の孫・ひ孫に当たる音楽家親子3人。「祖父・曽祖父が手掛けた空間で演奏したい」という彼女たちの強い思いにより実現しました。当時のままの内装に囲まれてのコンサートは、まさに時空を超えた感動の情景となりました。
1930年代に建造された当社客船のインテリアは、主として英国様式でした。そんな中「氷川丸」(1930年竣工)には流行最先端のアールデコ様式が採用され、モノトーンを基調にジグザグ模様や流線形、幾何学模様をあしらったモダンな内装は大変話題になりました。
1941(昭和16)年に海軍病院船として徴用され、戦後も何度か改装された「氷川丸」ですが、今回コンサートが開かれたダイニングサロンのほか、特別室、社交室、喫煙室の家具や照明器具、階段の手すりには往時の意匠がそのまま残されています。
昨年「氷川丸」はその建築史上・造船技術史上・近代史上の価値が評価され、横浜市の有形文化財に指定されました。
シモン氏
社内報「YUSEN」
2004年4月号
【表紙のことば】 春は新しくいろいろなものが動き出す季節。新社長の誕生で、NYKグループにも新しい風が吹く。
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