12月といえば、翌年のカレンダーを準備する季節です。かつて日本郵船の客船では、クリスマスに乗り合わせた乗客に卓上カレンダーをプレゼントする習慣がありました。当時の『THE TRAVEL BULLETIN』には、そこで配布されたさまざまな 趣向を凝らしたカレンダーが、毎年のように紹介されています。
例えば1933年12月号では「本社調度課が制作した、最も興味深いカレンダー」として、翌年(34年)の干支(えと/いぬ)が描かれた絵馬付きのカレンダーが紹介されています。これは、日本の古銭・大判を模した箱に入れられており、ふたを開けると絵馬カレンダーが出てくるという、非常に手の込んだ作りとなっています。33年のカレンダーは、提灯(ちょうちん)型の箱を開けると、中からクリスマスディナーメニューと一緒に、扇形のカレンダーが出てくる仕掛けでした。 37年のカレンダーは箱の演出はありませんが、竹でできた小さな灯籠(とうろう)飾りがぶら下がる、とても愛らしいものです。いずれも日本情緒漂うデザインで、多くの外国人乗客に喜ばれたであろうことは、想像に難くありません。
『THE TRAVEL BULLETIN』 1932年12月号 早稲田大学図書館協力
『THE TRAVEL BULLETIN』:1920~41年、日本郵船が発行した英文広報誌。全195巻
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グループ報「YUSEN」
2012年12月号No.664
【表紙のことば】 これが世界唯一のスラリー船だ!!