時の羅針盤

The Compass of Time

『THE TRAVEL BULLETIN』「鹿島丸」の船上句会

1933年3月号の『THE TRAVEL BULLETIN』では、俳誌『ホトトギス』で知られる俳人高浜虚子(1874~1959)が32年12月に横浜港に停泊中の欧州航路船「鹿島丸」での俳句会に招かれたことが伝えられています。

当時、俳句・和歌という日本の詩形態は他の国々でも大変人気があり、英文学者宮森麻太郎(1869~1952)が日本の俳句千句を英語に翻訳した本も出版されていました。俳句会には虚子のほか、数人の逓信省の役人がゲストとして招待され、渡辺船長、上ノ畑機関長を訪れました。

虚子はこの後も何度か当社の船に乗船しています。この俳句会の後の36年2月には横浜から「箱根丸(I)」でフランスに渡り、帰国後、船内で詠んだ俳句やフランスでの体験を含めた4カ月間を『渡仏日記』にまとめています。さらに39年には横浜~神戸を「鎌倉丸(II)」で、48年には北海道ホトトギス俳句会に出席するため家族や弟子らと横浜~小樽を「氷川丸(I)」で往復し、船上の情景を詠んでいます。

  • 『THE TRAVEL BULLETIN』 1933年3月号 早稲田大学図書館協力

『THE TRAVEL BULLETIN』:1920~41年、日本郵船が発行した英文広報誌。全195巻

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