現代のクルーズでもスポーツやゲームなどの各種イベントが開催されていますが、戦前の客船時代から甲板上では船上運動会が催されており、当時の乗船客はさまざまなデッキゲームを楽しんでいました。『THE TRAVEL BULLETIN』1929年5 月号に掲載された、20年代に当社の船で親しまれていたゲームの中からユニークなものを幾つか紹介します。単純なルールですが、船の揺れも手伝い大いに盛り上がったのではないでしょうか。
◆Bottle Driving Race(ビンを使った目隠しレース)
男女一組になって競走するゲームです。空きビンを並べたコースを数列作ります。目隠しされた男性が前に立ち、後ろの女性は男性のそれぞれの腕に巻かれたひもを引っ張ることによって方向を指示しながら進みます。ビンを倒さずに最も早くゴールにたどり着いたペアの勝ちです。
◆Potato and Spoon Race(ジャガ芋スプーンレース)
ティースプーンにジャガ芋を乗せて落とさないようにゴールまで運びます。簡単なゲームですが以下のような細かいルールがあります。 (1)片手で運ぶ (2)親指が芋に触れてはいけない (3)芋を拾い上げるときに足で芋を押さえない
◆Chalking the Pig's Eye(豚の目描きゲーム)
始めに大きな豚の絵をデッキに描きます。目隠しをされた参加者は、体を3 回転させられた後、周囲の声を手掛かりに豚の絵に向かって進み、手に持ったチョークで豚の目を描きます。最も近い位置に目を描いた人の勝ちです。
『THE TRAVEL BULLETIN』 1929年5月号 早稲田大学図書館協力
『THE TRAVEL BULLETIN』:1920~41年、日本郵船が発行した英文広報誌。全195巻
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グループ報「YUSEN」
2012年10月号No.662
【表紙のことば】 最後まで地球にやさしく