『THE TRAVEL BULLETIN』では楽しそうに写真に写る子どもの乗客が紹介されています。乗客の中には家族連れもいましたが、子ども同伴の長旅は大変なことです。船内では子どもたちや家族が快適に過ごせるよう、さまざまなサービスを提供していました。
幼い子どもを連れた女性が安心して過ごせるようにスチュワーデスと呼ばれる専任の女性スタッフが乗船しており、航海中は船内の児童室(ナーサリー)やデッキで、託児サービスを受けることができました。船にはたくさんの遊具やおもちゃが用意され、船上運動会などのイベント時には子ども向けのプログラムも組まれました。
もちろん遊びばかりではありません。小学生を対象にボランティアの先生による国語や算数の授業が開かれることもありました。
食事は通常より30分~1時間ほど早く始まり、子ども向けのメニューが用意されました。現在、横浜の山下公園に係留されている日本郵船氷川丸では、竣工当時の姿に復元された一等児童室を見ることができます。一等食堂の隣に設けられた児童室に子どもを預け、大人たちはゆっくりと食事を楽しむことができました。
『THE TRAVEL BULLETIN』 1941年8月号 早稲田大学図書館協力
『THE TRAVEL BULLETIN』:1920~41年、日本郵船が発行した英文広報誌。全195巻
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グループ報「YUSEN」
2012年6月号No.658
【表紙のことば】 四角いから死角なし!