時の羅針盤

The Compass of Time

『THE TRAVEL BULLETIN』たくましい未来の船員たち

『THE TRAVEL BULLETIN※1』1936年6月号では、航海実習中の未来の船員(実習生)たちの様子を紹介しています。実習生たちの熱意が伝わってくる練習帆船「日本丸」船上での登檣(とうしょう)訓練(マストに登る訓練)やボート訓練の風景が掲載されています。

船員教育の歴史は明治時代までさかのぼります。明治政府は日本人船員の養成のため、郵便汽船三菱会社(後の日本郵船)に商船学校の設立を命じ、1875(明治8)年に三菱商船学校が設立されました。この記事が掲載された昭和10年代、国内には東京と神戸に官立高等商船学校、さらに全国各地に8校の公立商船学校がありました。官立高等商船学校では卒業までの5 年半のうち、航海科は2年間、機関科は1年間を練習帆船での訓練を含む航海実習に充てていました。

厳しい規律と訓練により、船員としての知識と技術を身に付けた実習生たちは、卒業後世界中の海へと巣立っていきました。その後、航海実習は商船系の学校や航海訓練所などに引き継がれ、現在も未来の船員たちが練習船で学んでいます。

※1 THE TRAVEL BULLETIN 1920〜41年、日本郵船が発行した英文広報誌。全195巻

  • 『THE TRAVEL BULLETIN』 1936年6月号 早稲田大学図書館協力

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