時の羅針盤

The Compass of Time

『THE TRAVEL BULLETIN』ミスター&ミセスアメリカが無事日本に到着

『THE TRAVEL BULLETIN※1』1935年8 月号には、日本郵船の客船に当時のニューヨーク(米国)市長が派遣した親善使節が乗船した様子が紹介されています。なぜ記事として取り上げられたかというと、彼らは等身大の人形だったからです。

ミスター&ミセスアメリカと呼ばれた2 人の来日に当たり、日本郵船は「淺間丸」の一等特別室を提供。横浜港では船長フジオとミスサクラコと名付けられた、やはり等身大の人形が出迎えています。

東京では帝国ホテルに宿泊し、皇居などの名所を観光。買い物にデパートへ立ち寄ったほか、日本郵船本店も訪れました。当時では珍しい航空機に乗って名古屋へ移動した後は、特急列車で京都、大阪、神戸、別府(大分県)、阿蘇山(熊本県)、熊本、雲仙(長崎県)、長崎と巡り、各地で盛大な歓迎を受けたそうです。帰国に使われたのは「平安丸」。ミスター&ミセスアメリカは贈られた着物を着て、たくさんのトランクに土産物を詰めて横浜港を後にしました。

ミスター&ミセスアメリカが本当は人間だったのではないかと疑いたくなるような記事ですが、両国の友好親善に大いに貢献したことは間違いなさそうです。

※1 THE TRAVEL BULLETIN 1920~41年、日本郵船が発行した英文広報誌。全195巻

  • 『THE TRAVEL BULLETIN』1935年8月号 早稲田大学図書館協力

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