今日のクルーズ客船は等級区分のないモノクラスが主流ですが、戦前の客船には1等2等などの等級区分がありました。等級によっては立ち入りできない区域もあるなど、当時の船内はまるで迷路のようでした。
そのころ当社では大判の船内配置図を作製、客室番号や食堂、喫煙室などの乗客用設備が一目で分かるようにしていました。これは、迷路のような船内の頼もしいガイドであったに違いありません。大正時代には「キャビン・プラン」と題した黒1色の印刷でしたが、豪華客船が相次いで建造され始めた1930(昭和5)年ごろからは「プラン・オブ・パッセンジャー・アコモデーション(乗客居住区配置図)」という、従来よりも一回り大きなものに変わりました。赤黒2色で印刷し、余白にはインテリア写真を飾るなどの華やかなデザインです。戦争中に作製された数枚を除く現存品はすべて英語版なので、主に外国人乗客に配布されたものと思われます。写真は歴史博物館で展示中の「浅間丸」「龍田丸」の配置図です。
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船内配置が全く同じ姉妹船の場合には、船名併記で作成された
社内報「YUSEN」
2005年2月号
【表紙のことば】 グループ経営の強化を目指すNYKグループ。それはまるで、原子が結びついて新しい物質を作り出すかのような活発な作用をもたらす。
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