冬といえば白銀の世界、ウインタースポーツや温泉を連想する人も多いのではないでしょうか。今から約86年前の人々も、同じ楽しみを共有していたようです。『THE TRAVEL BULLETIN』1929年12月号では、北国の銀世界の美しさを「雪の女王が魔法の杖で景色を一変させたよう」と表現しており、日本の冬の魅力として当時人気のスキーとスケートを取り上げています。
1911年、本格的に日本に伝えられたとされるスキーは着々と人気を得ていきました。同誌では以前より「スポーツマンの胸轟とどろかす壮快なスキー遊び」と度々スキーの話題が取り上げられています。
また、スケートは寒冷地で広く親しまれており、毎年大会が行われていたとの記載もあります。諏訪湖(長野県)の氷上でスケートをする写真からは楽しげな雰囲気が伝わってきます。
他に、外国人観光客にも人気の温泉地として温暖な熱海(静岡県)、白浜(和歌山県)、別府(大分県)を紹介しており、今も昔も変わらず、多くの人に愛される避寒地だったことがうかがえます。
伝統行事も多い冬は、当時から海外に日本の魅力を伝えるのにふさわしい季節だったのです。
『THE TRAVEL BULLETIN』 1929年12月号 早稲田大学図書館協力
『THE TRAVEL BULLETIN』:1920~41年、日本郵船が発行した英文広報誌。全195巻
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グループ報「YUSEN」
2015年2月号No.690