1926(大正15)年1月に発行された欧州航路寄港地ガイドブック“To The Sunny East”では、その航路で運航された船舶と寄港地が写真入りで紹介されています。同名のタイトルでPR映像も作られ、1927(昭和2)年11月に帝国ホテル(東京都)で招待客、関係者600人を集めた新作発表上映会が開催されました。
上映会から71年目に当たる1998(平成10)年。旅行会社Thomas Cook AG社がメルボルン(オーストラリア)の社屋を取り壊した際、この映像フィルムの一部が発見されました。NYK本店からの送り状が張られた古い金属製のケースには、直径30センチメートルの35ミリフィルムが6本納められ、1本約15分の無声モノクロ映像のところどころに英文テロップが挿入されています。映像には京都や日光などの名所、アイヌ民族が子グマを囲んで踊る姿、柔道や剣道の練習風景、馬車が走る東京駅前、行き交う着物姿の人々などが写されていました。
80年前の日本の風物が時を越え息づいており、歴史的資料として非常に価値が高いことが判明しました。しかし、フィルムの素材が現在では上映禁止のセルロイドのため、現物は東京国立近代美術館へ寄贈し、博物館ではコピーしたデジタルベータカムテープとケースのみを保管しています。
社内報「YUSEN」
2005年10月号
【表紙のことば】 世界中の多くの人たちに支えられてきた120年。 おめでとう、NYK。ありがとう、みんな。
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