今シーズン、11年ぶりに関東大学対抗戦を制した「荒ぶる魂」早稲田大学ラグビー部ですが、同部が1927年(昭和2)に日本のラグビーチームとして初めて海外遠征を行ったことはあまり知られていません。
彼らの目的地は、日本の夏休みに冬場のラグビーシーズンを迎えるオーストラリア。1等客室料金でシドニー往復1人65ポンド(約1,100円、公務員の初任給が75円)という高額な旅費が、学生たちにとって最大のネックでした。そこでラグビー部の本領主将は、当社で座り込みの割り引き交渉をします。早稲田大学出身の船客課中野五郎は、後輩の熱意を意気に感じて独断で半額割り引きを決め、「安藝(あき)丸」による遠征が実現したのです。
慶応義塾大学の選手をはじめ多くの関係者の激励を受け、引率教授ほか20人のメンバーは7月13日神戸を出航します。割り引きの負い目からか、彼らは船内で非常に行儀が良く、同乗の外国人船客からの評判は上々だったといいます。
現地では、ビクトリア州代表、メルボルン・シドニー大学選抜、シドニー大学などと対戦。実力の差はいかんともしがたかったものの、早稲田大学はこの遠征で得た「ゆさぶり戦法」を日本に持ち帰り、その後の日本ラグビーの発展に拍車をかけます。日本選抜チームがカナダ遠征を行う3年前のことでした。
ちなみに、「危うくクビになりかけた」とは、後日この割り引きが社内で問題になったことを述懐する中野の言葉です。
ビクトリア州代表との試合を報じる現地新聞
「安藝丸」船上の早稲田大学ラグビー部メンバー
写真提供:早稲田大学教授 日比野 弘氏
社内報「YUSEN」
2002年2月号
【表紙のことば】
毎年5月17日の憲法記念日には、ノルウェー各地で盛大なパレードやセレモニーが行われる。人々は色とりどりの美しい民族衣装を着飾り、手にした国旗を振りながら、国と国民の誇りを分かち合う、非常に重要な日である。
(Saga Forest Carriers社 近森茂雄)
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