東京都立中央図書館(港区)の特別文庫室に、当社第3代社長・近藤廉平の名前をとった「近藤記念海事財団文庫」があります。生前の廉平は海事知識の普及に熱心でしたが、その志を継いだご子息が私財を投じて「近藤記念海事財団」を設立。かねてより海運国日本に欧米のような海事図書館が無いことを憂えていた財団は、昭和6年(1931)日本初の海事文庫を誕生させました。
開設当時は、国内外から収集された海事関係の和洋書2,500冊ほどでしたが、昭和12年(1937)にはその数約4,000冊となり、分野も海事外交史・地誌・海運商業・役所海事法規・海事司法・船舶工学・航海と多岐にわたりました。残念なことに、蔵書の大部分は東京大空襲で焼失してしまいましたが、空襲前に地方に移すことができた和書・貴重書約1,500冊はかろうじて被災をまぬがれ、今もなお研究や執筆活動に役立てられています。残された書籍の中には、文政10年(1827)に大坂の船大工金澤兼光によって著された『和漢船用集』12冊や、『此浦船ひょうばんくどき』『阿蘭陀海鏡書和解』などがあります。
文庫開設時に披露された蔵書の一部(左)、『和漢船用集』(右上)
2点の写真は東京都立中央図書館特別文庫室所蔵目録より転載。無断使用禁止。
社内報「YUSEN」
2001年12月号
【表紙のことば】 ブルージュ(ベルギー)は、いつ来ても美しい街。世界中から多くの人々が、引きつけられるようにこの地を訪れるのも不思議ではない。ここでは、運河沿いにボートで巡る市内観光がオシャレだ。ちょっと肌寒いが、船上での屈託のない観光客の表情がこの街の魅力を雄弁に伝えているかのようだ。
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